パーソナリティ研究
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原著
児童期後期・青年期における自己価値・自己評価を維持する機能の形成過程
――自己愛における評価過敏性,誇大性の関連の変化から
中山 留美子
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2007 年 15 巻 2 号 p. 195-204

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抄録

本研究では,自己価値・自己評価を維持する機能の形成に関する,1) 自他未分化であった自己評価機能が自律的な機能の形成により次第に自他独立的なものへと変容する,2) 自己注目的な自己評価機能と他者依存的な自己評価機能は独立な関係を保ちながら発達する,という2つの発達モデルについて,自己愛における評価過敏性と誇大性の2側面の関連の変化から検討を行った。小学6年生から大学生までのデータを用いて2種類の自己評価機能(誇大性,評価過敏性)の関連の年齢差について検討したところ,一部反する結果を含むものの,それらの関連は全体として学年が低いほど高く,次第に関連が弱まることが示された。この結果は,自己評価を維持する機能の形成が,やや分化した状態から個人差を発現・強化させていくという過程をたどることを示唆しており,これは1) のモデルを示唆する発達モデルであると考えられた。最後に,自己価値や自己評価を維持する機能の個人差および発達に関する詳細な検討の必要性が議論された。

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© 2007 日本パーソナリティ心理学会
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