パーソナリティ研究
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展望
社会的望ましさ尺度を用いた社会的望ましさ修正法
――その妥当性と有効性
登張 真稲
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2007 年 15 巻 2 号 p. 228-239

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抄録

社会的望ましさ尺度を用いた社会的望ましさ修正法の妥当性と有効性を検討する研究の結果を展望した。社会的望ましさ尺度は社会的望ましさ反応による回答の歪みを見破ることができるが,社会的望ましさ尺度を用いた社会的望ましさ修正法で前提とされている回答の歪みと社会的望ましさ尺度との間の直線的な関係は,一部の性格因子においてのみ示唆されるにとどまった。社会的望ましさ尺度を用いて個々の得点を修正する方法は,集合レベルではある程度の効果をもつが,個々のレベルで見ると個人の修正得点を正直得点に近似させる効果をもたないこと,部分相関や偏相関を用いた社会的望ましさ修正法は,パーソナリティ検査の妥当性を高める効果をもたないことが明らかとなった。社会的望ましさ尺度を用いた従来の修正法は,社会的望ましさ尺度が何を測定しているかという問題と関連づけて再検討する必要がある。

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© 2007 日本パーソナリティ心理学会
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