パーソナリティ研究
Online ISSN : 1349-6174
Print ISSN : 1348-8406
ISSN-L : 1348-8406
資料
対人不安傾向と完全主義認知が演奏状態不安に及ぼす影響
吉江 路子繁桝 算男
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 15 巻 3 号 p. 335-346

詳細
抄録
本研究は,ピアノサークルに所属する大学生,大学院生77名を対象に,対人不安傾向と完全主義認知が演奏状態不安に与える影響を検討した。演奏状態不安の指標としてState-Trait Anxiety Inventory (Spielberger, Gorsuch, & Lushene, 1970) を用い,本番の演奏前後の状態不安を測定した。さらに,演奏状態不安の要因の指標として,演奏前に完全主義認知,演奏後に聴衆不安と相互作用不安,自己志向的完全主義を測定した。その結果,対人不安傾向のうち“聴衆不安”,完全主義認知のうち“ミスへのとらわれ”のみが演奏前状態不安と正の相関をもった。また,これら2変数には交互作用が見られ,“ミスへのとらわれ”高群においてのみ,聴衆不安傾向が演奏前状態不安を有意に予測していた。これらの結果より,演奏者のパフォーマンスを高めるための実践的示唆が得られた。
著者関連情報
© 2007 日本パーソナリティ心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top