パーソナリティ研究
Online ISSN : 1349-6174
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原著
中高年期の自己評価における発達的特徴
――自尊感情との関連,および領域間の関連に注目して
若本 純子
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2007 年 16 巻 1 号 p. 1-12

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抄録
本研究は,中高年期成人2026名を対象に,自己評価と自尊感情との関連,自己評価の5下位領域間の関連,それらの関連における年齢段階差を検討した。自尊感情との関連を検討した重回帰分析では,中高年期全体を通して内的自己が,中年前期・ポスト中年期では社会的自己・生活的自己(経済面)も有意な説明変数であることが明らかにされた。領域間の相関分析では,各領域に対する自己評価は独立して付与されることが示唆された。領域間の関連における年齢段階差の検討では,男性は生活的自己の経済面,女性では経済面・健康面と他の自己領域との関連において有意差が示された。そして,中年前期は他の年齢段階と比べて,領域間の相関が有意に強い傾向にあった。一方,中高年期後半は経済面と他領域との関連をめぐって,中年前期よりも有意に領域間の相関が弱く,領域間の独立性がより顕著と考えられた。これらの自己評価の構造面の特徴は,“well-beingの逆説”や“危機”という中高年期の発達的現象を説明しうると示唆された。
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© 2007 日本パーソナリティ心理学会
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