本研究は,思考抑制を実現するための方略のひとつである,集中的気晴らしに関するメタ認知的信念と抑うつの関連について検討することを目的とした。研究1では,集中的気晴らしに関するメタ認知的信念として,“問題解決の阻害”,“逆説的効果”,“冷静な判断”,“記憶抑制”という4因子から構成される尺度である「集中的気晴らしに関するメタ認知的信念尺度(MBFQ)」が作成された。研究2では,MBFQの併存的妥当性,弁別的妥当性,再検査信頼性が確認された。さらに,“逆説的効果”に関するメタ認知的信念の確信度が高いほど,後の抑うつ症状が悪化することが示された。この結果から,メタ認知的信念に対する介入が,抑うつの慢性化や悪化の予防に貢献する可能性が示された。また,抑うつの悪化の背景に存在するプロセスについて議論した。