ペストロジー
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短報
コクヌストモドキ成虫の日周活動と歩行移動の実験的観察
辻 英明
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2009 年 24 巻 2 号 p. 55-60

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抄録

2006年6月に,コクヌストモドキ,Tribolium castaneum (Herbst)新成虫の日周活動を調べるためのアリーナ内実験を行った.成虫は夜行性を示し,昼間シェルターに定着した成虫は毎晩シェルターを離れて餌のトレイに侵入,あるいはシェルター表面を含む床上を俳徊したが,昼間の静止区域が(最初のシェルターでなく)しだいに餌近くの範囲になる傾向を示した.また,シェルターを離れた成虫はアリーナの明るい側に多く分布した.

2006年6,7,8月のそれぞれ1回(2昼夜),空室床面の中心から周囲の壁沿いに並べた12個の餌入りトラップへの成虫移動を観察した.室温が26〜33℃の範囲にあった6月および8月の実験では,2日で約30%の成虫がトラップに捕獲され,22~27℃の範囲にあった7月の実験では7%しか捕獲されず.本種の活動には高温が必要であることを示唆した.室内での捕獲個体の数も明るい方向のトラップに多い傾向を示した.

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© 2009 日本ペストロジー学会
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