2009 年 5 巻 p. 236-253
本研究では,地方再生の1つの手段として期待されるコンパクト・シティを財政的な側面からその効率性を評価し,地域の経済活動指標と合わせて検討することで,効率的都市像の検討を行った。本論文では,概念的な議論の多いコンパクト・シティのコンパクト性を統計的に捉える指標を探り,小地域データを使った実証分析及びシミュレーション分析を試みた。
分析の結果,自治体の社会経済環境に応じて異なるが,平均的に人口集中地区(DID)人口密度が5150人/km2程度の規模で,行政コストが最小になることがわかった。また,この規模では地域の経済活動は高まらず,コンパクト・シティが機能を連携・分担する都市圏を形成することが求められることを示唆する結果も得られた。