財政研究
Online ISSN : 2436-3421
研究論文
教育分権化と自治体のアカウンタビリティ
―都道府県データを用いた業績投票モデルによる実証分析
田中 宏樹
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2012 年 8 巻 p. 234-250

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抄録

 本稿は,2000年代に進んだ公教育の分権化が,教育行政をめぐる自律性を志向した首長の政治的支持の上昇に結びついているかを,理論モデルから導かれる回帰式を推定することで実証的に解明する。より具体的には,都道府県別プール・データを用いて,2000年代中盤に進んだ義務教育費国庫負担金の総額裁量制への移行が,知事選での業績投票的な意味合いを強める方向に作用し,都道府県レベルでのElectoral Accountabilityの上昇に寄与したか否かを,実証的に解明することに力点を置く。実証分析の結果,公教育サービスの水準やその提供に要した財政措置は,有権者による知事の業績判断の材料となって,その政治的支持・不支持の決定に結びついているという理論の帰結が支持された。

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© 2012 日本財政学会
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