哲学
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カントにおける「実在性」と「客観的実在性」
実在性としての力
犬竹 正幸
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1996 年 1996 巻 47 号 p. 217-226

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抄録

本稿の意図は、カントにおける「実在性」 (Realität) 概念の検討を通じて、カントの超越論的観念論を解釈するための一つの視角を呈示することにある。その際、単なる「実在性」と「客観的実在性」 (objektive Realität) とを区別して論じる必要がある。そこで、まずカントが実在性について語る場合に念頭においていたはずの、実在性概念の伝統的な意味を明らかにし、次いで、カントにおける客観的実在性の概念を検討する。その後、再び実在性概念にもどり、その批判哲学的な意味を明らかにしたい。その際、カントが実在性を「力」として捉えていることから、カントにおける力概念の内実、および経験の構成におけるその役割を検討することを通じて、「実在性としての力」を主題的に論じることが本稿の中心的論点となる。

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