421人の下肢静脈瘤症例を対象として,アンケート調査,筋ポンプ脈波法を用いてこむら返りの発生に影響する因子について検討した.421人のうち1年以内にこむら返りを経験している262人と全くこむら返りを経験したことがない114人の比較では,こむら返りは伏在静脈瘤に多く,また皮膚症状をもつ症例に高頻度であった.筋ポンプ脈波法による1/2再充満時間の比較では,こむら返りのある群が有意に高度な短縮を示した.上記の結果は,こむら返りは還流障害が高度な症例に発生しやすいことを意味している.また,50歳以上になると,立ち仕事もまたこむら返りを発生しやすくする因子であった.治療後1年以上を経た158症例のうち,84人,53%が治康後にこむら返りの著しい改善を示したが,どのような症例において治榛によりこむら返りの改善が期待でぎるのかは,本検討からは明らかにできなかった.