静脈学
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原著
  • 宇藤 純一, 塚本 芳春
    2020 年 31 巻 3 号 p. 65-68
    発行日: 2020/05/20
    公開日: 2020/05/20
    ジャーナル フリー

    血管内レーザー焼灼術(endovenous laser ablation: 以下EVLA)を施行した大伏在静脈弁不全1513肢を対象に,術後神経障害の発生頻度と臨床経過について検討した.焼灼にはradial 2-ring fiberを接続した波長1470 nmのダイオードレーザーを用いた.神経障害は「術後1カ月の時点で,患肢に明らかな神経症状を有するもの」と定義した.神経損傷が47肢(3.1%)に発生した.焼灼距離40 cm未満の患者群での発生頻度は1.3%,焼灼距離40 cm以上の患者群では5.2%と4倍の頻度で神経障害が生じていた.EVLA後1年を経過した患者25名へ電話インタビューを行ったところ92%の症例において症状の消失もしくは軽快が認められた.

  • 佐藤 浩一
    2020 年 31 巻 3 号 p. 69-72
    発行日: 2020/05/20
    公開日: 2020/05/20
    ジャーナル フリー

    深部静脈血栓症(DVT)について,精神科疾患による隔離患者での発生頻度と傾向について報告する.2019年1~12月までに治療として一週間以上の隔離となった連続39例を検討した.その結果,20.5%にDVTの発生を認め,単変量解析で年齢に関連を認めた.精神科疾患による隔離入院患者におけるDVTの発生は高頻度であり,とくに精神科疾患が中年以降に発症した際には積極的な診断が必要と考えられる.

  • 武内 謙輔
    2020 年 31 巻 3 号 p. 89-93
    発行日: 2020/07/22
    公開日: 2020/07/22
    ジャーナル フリー

    リバーロキサバンは単一薬剤での静脈血栓塞栓症(以下VTE)治療が本邦で最初に可能となった直接作用型経口抗凝固薬である.2013~2018年にリバーロキサバンによる抗凝固療法を施行したVTE 178例を対象とし(近位型11例,肺血栓塞栓症3例),用量別に治療成績を検討した.30 mgによる強化療法後維持療法(30 mg群)が30例,15 mgによる維持療法(15 mg群)が114例,10 mg使用(10 mg群)が34例で,血栓消失率はそれぞれ73.3%,78.9%,79.4%,血栓消失日数は平均29.0日,26.7日,22.9日であった.臨床的出血例は30 mg群2例(6.7%),15 mg群6例(5.3%),10 mg群ではみられなかった.リバーロキサバンは最長3週間の強化療法から15 mg, 10 mgまで幅広い用量調整が可能で,いずれの用量でも治療効果に優れており臨床的出血例は少なく安全に使用できた.

  • 藤澤 康聡, 深田 穣治, 田宮 幸彦, 佐藤 宏
    2020 年 31 巻 3 号 p. 95-99
    発行日: 2020/07/22
    公開日: 2020/07/22
    ジャーナル フリー

    いくつかの大規模疫学調査において,下肢静脈瘤患者では経年的に末梢動脈疾患(PAD)の発症頻度が高くなることが報告されているが,一方で実臨床においては静脈瘤とPADの関連をはっきりと実感することはなく,疫学調査で示された相関関係と日常臨床の印象には乖離が存在する.そこで今回,65歳以上の下肢静脈瘤手術患者421例について,術前VFI, ABI, PWVを測定し,静脈瘤の重症度と動脈硬化パラメーター間に関連性があるのかを検証した.結果,VFIとABI, VFIとPWVの間に有意な相関はみられなかった.またCEAP軽症群(C2–3)と重症群(C4–6)に分け,両群のABIとPWVを比較したが,どちらも有意差はみとめなかった.さらに片側のみ手術を行った238例について患肢群と健常肢群のABIとPWVを比較したが,ともに有意差はみとめなかった.今回のマクロ的検討では静脈瘤の重症度と動脈硬化パラメーターの間に明らかな関連はみられず,疫学調査で示された静脈瘤とPAD発症リスク間の交絡因子を明らかにすることはできなかった.しかし,この関連メカニズムや交絡因子を解明することは日常臨床における重要性が高いと考えられ,今後更なる研究の進展が望まれる.

  • 新谷 隆, 藤村 博信, 澁谷 卓, 澤 芳樹
    2020 年 31 巻 3 号 p. 107-111
    発行日: 2020/08/11
    公開日: 2020/08/11
    ジャーナル フリー

    下肢静脈瘤に対するラジオ波焼灼術(RFA)前後に静脈機能検査である光電脈波検査(PPG)を施行し静脈機能の改善について検討した.対象は2015年4月から2018年3月の間にRFAを施行し術後12カ月までPPGを行えた105例141肢で,評価は再充満時間(VRT)で行った.平均VRTは術前,術後1カ月,術後6カ月,術後12カ月:13.9±8.2, 24.1±10.0, 24.6±9.7, 25.1±10.7 secであり術後1カ月でVRTの改善を認め,術後12カ月まで維持された(P<0.0001).また術後12カ月時点での立ち仕事の有群と無群,圧迫療法継続の有群と無群に分けそれぞれの群間差を比較検討したが,全期間で有意差は認めなかった.PPGにて行った静脈機能評価では,RFAによる静脈機能の改善は術後12カ月まで維持されていることを確認することができた.

  • 宇藤 純一, 塚本 芳春
    2020 年 31 巻 3 号 p. 113-118
    発行日: 2020/09/28
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル フリー

    直径5 mm以上の側枝静脈瘤を有する大伏在静脈弁不全の患者44名に対して,細径ファイバー(ELVeS radial 2ring slim fiber, 直径1.27 mm)を用いて血管内レーザー焼灼を行い,さらに16 G静脈留置針で静脈瘤を穿刺し内腔へファイバーを挿入,出力5 Wでレーザー焼灼を行った.93%の症例で9割以上の瘤消失が確認され,血栓性静脈炎や皮膚熱傷などの有害事象はみられなかった.

  • 呂 彩子, 景山 則正, 向井 敏二
    2020 年 31 巻 3 号 p. 123-129
    発行日: 2020/11/25
    公開日: 2020/11/25
    ジャーナル フリー

    進行がんに伴う急性広範性肺血栓塞栓症47剖検例(男性22・女性25例,平均66±11歳)の臨床病理学的特徴を検討した.原発部位は,結腸8例,肺7例,卵巣6例,その他27例.23例(49%)はがんの加療中であったが静脈血栓塞栓症(VTE)の生前診断は1例のみであった.加療中の83%は外来通院中であった.肺血栓塞栓症の性状は62%が急性,38%が再発性.静脈血栓の局在は92%が下肢深部静脈で,両肢性が85%,局在は94%が下腿型であった.がんに接する上下大静脈静脈血栓が3例,下肢深部静脈血栓と非深部静脈血栓の合併が2例あった.がん関連VTE予防においては非がん患者と同様の下肢の血流うっ滞防止が重要である一方で,がんの種類や部位・診療内容など,患者の個々の病態に即した対応が求められる.

  • 今井 崇裕, 黒瀬 満梨奈
    2020 年 31 巻 3 号 p. 131-139
    発行日: 2020/11/25
    公開日: 2020/11/25
    ジャーナル フリー

    目的:2019年血管内塞栓術が保険適用になり下肢静脈瘤治療の新たな選択肢が加わった.本治療の短期成績と安全性の検討結果を報告する.対象と方法:2020年1~3月に一次性下肢静脈瘤で血管内塞栓術を施行した18例26肢を対象とした.治療標的血管は大伏在静脈と小伏在静脈とし瘤切除は行わず,術後に弾性ストッキングは使用しなかった.検討項目は解剖学的および臨床学的検討,安全性として術直後,1週後,1カ月および3カ月後に前向きに調査した.解剖学的検討は閉塞率とし超音波で評価した.臨床学的検討はVASによる術後疼痛,VCSS, AVVQを使用したQOLおよび安全性とした.結果と考察:術後3カ月の累積完全閉塞率は92.0%. VASは平均0.6±0.7, VCSSとAVVQはともに術後3カ月の時点でベースラインから有意に改善した.有害事象は静脈炎,過敏症,血腫の流出で計3名であった.結論:血管内塞栓術の治療成績は良好で,術中のTLAや治療器本体が不要であることなどから今後普及が予想される.

症例報告
  • 石田 敦久, 森田 一郎, 磯田 竜太郎, 間野 正之
    2020 年 31 巻 3 号 p. 73-76
    発行日: 2020/06/24
    公開日: 2020/06/24
    ジャーナル フリー

    左総腸骨静脈閉塞症に対して,大腿–大腿静脈交叉バイパス術が有効であった症例を経験したので若干の文献的考察を含めて報告する.症例は79歳女性.1年前から左下肢腫脹あり,6カ月前から発赤を伴い,左下肢疼痛が生じたため受診.身体所見は左下腿に色素沈着を認めた.下肢周囲径は下腿部で5 cm, 大腿部で8 cmの左右差を認めた.Dダイマー値は正常値であった.超音波検査では,左下肢静脈に逆流所見なく,左腸骨静脈血栓症を認めた.造影CTでは,左内腸骨動脈から動静脈瘻の所見と左腸骨静脈閉塞を認めた.動静脈瘻に対してステントグラフト内挿術施行し,左下肢痛は軽快した.しかし,術後5カ月で左下肢痛が再燃したため,大腿–大腿静脈交叉バイパス術を施行した.術後左下肢痛は軽快し,術後8カ月で下肢周囲径に左右差を認めなくなった.現在術後3年経過良好である.

  • 岡島 年也, 小林 克弘
    2020 年 31 巻 3 号 p. 77-82
    発行日: 2020/06/24
    公開日: 2020/06/24
    ジャーナル フリー

    下大静脈フィルター(inferior vena cava filter: IVCF)は静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism: VTE)治療の補完医療機器として汎用されてきたが,IVCFの傾斜や位置移動,脚の穿孔といった合併症が懸念される.とくに永久留置となった場合には,これらの合併症に加えてIVCFの破損やIVCF血栓閉塞にも注意しなければならない.そのため,現在ガイドラインでは,IVCF留置に際して回収可能型IVCFの選択かつ最低限の留置期間にするよう提唱されている.今回,急性VTEの診断で留置したIVCFが永久留置となり,ワルファリンで抗凝固療法を継続していたにもかかわらず,留置後7年目にとくに誘因なくIVCF血栓症を発症し,抗凝固薬をリバーロキサバンに変更後約1カ月でIVCF内の血栓が消退し得た1例を経験したので報告する.

  • 永田 英俊, 神尾 健士郎, 近藤 ゆか, 服部 良信, 堀口 明彦
    2020 年 31 巻 3 号 p. 101-105
    発行日: 2020/07/22
    公開日: 2020/07/22
    ジャーナル フリー

    原発性鎖骨下静脈血栓症は,稀な疾患で鎖骨–第1肋骨部で静脈壁に生じた狭窄の関与が多いと考えられている.発症早期例に対する経カテーテル的血栓溶解療法(CDT)の溶解成績は良好といわれるが,中枢の器質的狭窄のためしばしば再発することがある.今回,鎖骨下静脈血栓症に対しCDTを行い血栓は溶解したが,再発したため,狭窄に対し手術行った1例を経験した.症例:46歳,女性.ランニング中に出現した左上肢腫張と緊満感で受診し造影CT,左上肢静脈造影で原発性鎖骨下静脈血栓症と診断した.CDTを行い血栓は消失したが,中枢側に狭窄が判明した.ワーファリン(WF)を服用し退院したが,服用中止後に再発した.再度CDTを施行し,その6カ月後に手術を行った.手術は鎖骨下切開法で鎖骨下静脈に到達し第1肋骨切除とパッチ形成を施行した.術後6カ月間抗凝固療法(WF)を行い中止したが,静脈うっ滞症状は消失し血栓症の再発もなく治療経過は良好である.

  • 北條 竜司, 佐賀 俊文, 浦田 雅弘
    2020 年 31 巻 3 号 p. 119-122
    発行日: 2020/09/28
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル フリー

    下肢静脈瘤は下腿のだるさ,浮腫,掻痒感,色素沈着,皮膚潰瘍などさまざまな症状を起こしうる一方,静脈抜去術や高位結紮術に加えて血管内焼灼術などの外科的治療が根治治療として行われている.しかし,良性疾患であるため,診断されていながらも適切な治療が行われず放置されている症例も少なくない.今回我々は他院にて下肢静脈瘤を指摘されながらも放置され,出血性ショックを呈し救急搬送された症例を経験したので,若干の文献的考察を加え,報告する.

その他
  • 前田 まゆみ, 花田 明香
    2020 年 31 巻 3 号 p. 83-87
    発行日: 2020/07/22
    公開日: 2020/07/22
    ジャーナル フリー

    下肢静脈瘤および深部静脈血栓症に対しては,超音波検査による評価が重要である.超音波検査の実施にあたり,被検者は可能な限り立位で行うことが基本であり,ベッドあるいは室内の壁に寄りかかり,検査肢に重心をかけた状態でいる必要がある.検査が長引く場合,被検者はその立位を保つことが困難であり,高齢の被検者となればなおさら,安全面でも課題がある.今回,われわれは高齢者の検査中の安全確保を目的として,介護用品である手摺付きステップ台を下肢静脈超音波検査用に改良した.これにより,当初の目的であった被検者の安全確保だけでなく,検者の身体負荷を軽減するという利点も得られた.加えて,超音波検査の時間は短縮し,被検者の立位の安定による検査の精度向上にも寄与した.この考案した手摺付きステップ台を用いることで得られる利益は多い.今後,普及・改善がなされれば,下肢静脈超音波検査の質をより高められるものと期待する.

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