静脈学
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原著
  • 宇藤 純一, 塚本 芳春
    2022 年 33 巻 3 号 p. 245-250
    発行日: 2022/07/16
    公開日: 2022/07/16
    ジャーナル オープンアクセス

    大伏在静脈(great saphenous vein, GSV)逆流による下肢静脈瘤に対する新しい治療プロトコールを作成し血管内レーザー焼灼術を行った.GSV弁不全連続400症例に対し,外径1.27 mmの細径ファイバーと波長1470 nmのELVeSレーザー装置を用い,膝上GSVは7 W(LEED: 50–70 J/cm)で,膝下GSVは5 W(LEED: 20–25 J/cm)で,2段階にGSVを焼灼した.側枝静脈瘤は16 G静脈留置針で内腔を穿刺し,ファイバーを挿入し5 W(LEED: 30 J/cm)で焼灼した.術後合併症の発生率は旧プロトコール400症例の6.7%と比べて,新プロトコールでは2.4%と有意に減少し,伏在神経損傷の発生は認めなかった.

  • 宇藤 純一, 塚本 芳春
    2022 年 33 巻 3 号 p. 257-260
    発行日: 2022/07/16
    公開日: 2022/07/16
    ジャーナル オープンアクセス

    過去2年間に行った下肢静脈瘤手術1082例のうち,鬱滞性皮膚潰瘍を合併したC6症例15例の臨床像を検討した.男性6例,女性9例で,平均年齢は64.8歳であった.全例,大伏在静脈の弁不全で,うち1例は小伏在静脈の弁不全も合併していた.立ち仕事の割合は10名(67%)と高率で,飲食関係が7名と最も多かった.また初診時のエコー検査で,深部静脈弁不全の所見が8名(53%)に認められた.初診から1–2カ月以内に不全伏在静脈の血管内焼灼術を行い,術後は全例皮膚病変の改善が得られた.

  • 中井 義廣, 角瀬 裕子, 岡本 浩
    2022 年 33 巻 3 号 p. 289-294
    発行日: 2022/10/14
    公開日: 2022/10/14
    ジャーナル オープンアクセス

    静脈血栓塞栓症(以下VTE)に対する抗凝固療法は,癌患者,再発例はより長期間の抗凝固療法を行うとしているが,それ以外の血栓性素因を有する症例の抗凝固療法についても考慮する必要がある.VTEと診断後は全症例に対して血液検査で血栓性素因の有無を検査した.悪性腫瘍は適当な方法で診断した.直接経口抗凝固薬(DOAC)を用いて治療を行い,経過観察可能であった138例のうち,血栓性素因合併例をそれぞれのカテゴリーに分類した.VTEに占める血栓性素因の割合は23.2%で,悪性腫瘍(CAT群)10例,抗リン脂質抗体症候群(APS群)19例,プロテインS欠乏症(PS群)7例,プロテインC欠乏症(PC群)3例であった.CAT群は10例中4例が経過観察中に死亡した.血栓性素因を合併する症例の再発率は18.7%,血栓性素因のない症例の再発率は7.5%であった.血栓性素因合併例の治療については再発率が高い傾向にあるため,投薬期間など個々の症例ごとに検討する必要があると思われた.

  • 佐藤 央, 中島 隆之
    2022 年 33 巻 3 号 p. 295-299
    発行日: 2022/10/31
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術(EVLA)で最も留意すべき術後合併症は血栓性合併症である.当院で術後に静脈血栓塞栓症(VTE)を発症した症例について検討を行った.【対象】2015年5月から2021年1月に伏在型下肢静脈瘤に対しELVAを行った1049名を対象とした.【結果】5例で深部静脈血栓症(DVT)を認め,その内3例に肺血栓塞栓症(PTE)を併発した.DVT発症の5例中4例は術前に表在性静脈血栓症(SVT)を認め,SVTは有意にVTEの危険因子であった.全身麻酔,両側EVLA, 年齢,手術時間,瘤切除数,肥満のいずれもVTE発症の危険因子とはならなかった.【結論】術前にSVT既往のある症例ではEVLA術後にVTEを発症する危険因子であることが示唆された.

  • 洞井 和彦, 長門 久雄, 髙井 文恵, 吉良 浩勝, 植山 浩二
    2022 年 33 巻 3 号 p. 301-305
    発行日: 2022/10/31
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル オープンアクセス

    当科では下肢静脈瘤本幹病変の加療後,周辺病変に対しては硬化療法単独で加療して,低侵襲化を図ってきたので報告する.対象は2018年4月から2020年12月までの下肢静脈瘤患者239例とした.治療は本幹病変には血管内治療,周辺病変には静脈結紮術を施行しないでフォーム硬化療法のみを行った.患者内訳は血管内焼灼術229例,血管内塞栓術10例で,性別は女性140人,男性99人で,平均年齢は66.2±0.7(27–86)歳であった.術後神経障害,血栓症などの合併症はなかった.硬化療法の回数としては1回のみ174例,2回以上は35例,未施行は30例であった.下腿残存本幹逆流例は150例(67.0%)に認め,すべて硬化療法を行った.術後観察期間は13.2±0.6(0–32)カ月で,再発例は1例であった.当科では周辺病変に対して,硬化療法単独治療により,低侵襲化を図り,合併症のない治療経過を得られた.

  • 松原 進, 杉山 悟, 脇 直久
    2022 年 33 巻 3 号 p. 317-321
    発行日: 2022/12/26
    公開日: 2022/12/26
    ジャーナル オープンアクセス

    下肢静脈瘤の診断において超音波検査は不可欠であり,ガイドラインに沿って行われている.その描出を長軸法ですべきか短軸法ですべきかについての記載は曖昧な点が多いため,その疑問について検討した.技師3名がそれぞれ連続6例にて,長軸法と短軸法でそれぞれ3点(大腿中央部,膝周囲,下腿中央部)のduplex scan画像を記録し静脈径を計測するのにかかる時間を比較した.逆流評価において,全例で両法ともどの部位もすべて逆流シグナルが認められ,検査時間は,18例全例で短軸法が短い結果であった.大腿静脈–大伏在静脈接合部は計測上の理由から長軸法で行われるが,その他の計測点においては短軸法を推奨したい.

症例報告
  • 草川 均
    2022 年 33 巻 3 号 p. 251-256
    発行日: 2022/07/16
    公開日: 2022/07/16
    ジャーナル オープンアクセス

    非定型的な難治性下肢静脈瘤病変に対し,2018年から薬機法で認可されたレーザースリムファイバーを用いた短い距離の焼灼を行い,効を奏した症例の経験を報告する.伏在静脈治療後の深部静脈接合部スタンプ由来の再発性静脈瘤症例,深部静脈接合部付近の伏在静脈側枝囊状瘤症例,難治性下腿潰瘍を伴う不全穿通枝で内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術が筋膜下の癒着で不能であった血栓後症候群症例である.レーザースリムファイバーを用いた治療は非定型的な難治性下肢静脈瘤病変に対する治療の突破口となることが期待される.

  • 滝澤 恒基, 大澤 宏, 明石 興彦, 保坂 茂
    2022 年 33 巻 3 号 p. 261-266
    発行日: 2022/07/29
    公開日: 2022/07/29
    ジャーナル オープンアクセス

    骨盤内機能不全静脈に対するプラグ塞栓術が奏功した骨盤内うっ滞症候群(PCS)の7例を報告する.全例下肢静脈瘤患者に併存したPCSで,平均年齢は64.1歳.全例経産婦で閉経後であり,骨盤うっ滞症状が長時間の立位で悪化した.全例,造影CTの動脈相で径8 mm以上に拡張した左卵巣静脈とそれに連なる骨盤内静脈瘤が描出され,左卵巣静脈の機能不全がPCSの主因であった.また7例中4例に,立位での選択的静脈造影で右卵巣静脈や内腸骨静脈にも機能不全を認めた.手術は径カテーテル的に血管径の平均1.22倍のサイズのプラグを,1症例あたり平均3.3個留置し機能不全静脈を閉塞した.合併症は術中静脈損傷1例のみでプラグ留置後直ちに止血された.プラグの移動や逸脱はなかった.全例術後1週間以内に骨盤うっ滞症状が改善し,術後3年以上の経過で骨盤内静脈瘤や症状の再発は認めていない.プラグ塞栓術はPCSの有効な治療法と考える.

  • 杉山 悟, 脇 直久, 松原 進
    2022 年 33 巻 3 号 p. 267-271
    発行日: 2022/07/29
    公開日: 2022/07/29
    ジャーナル オープンアクセス

    小伏在静脈(SSV)に対するグルー治療後に腓腹静脈(GCV)内にグルーと血栓の伸展(endovenous glue-induced thrombosis(EGIT))を認めた症例を経験したので報告する.症例は84歳,女性.主訴は頻回のこむら返り.左下腿部大伏在静脈(GSV)とSSVに逆流所見を認めた(C3-S Ep As,p,d Pr GSVb, SSV).重症度分類rVCSS; 3. SSV 15 cm, 末梢GSV 15 cmに対してシアノアクリレートを合計11回滴下した.手術2週後に下腿部GSVとSSVの閉塞を認めたが,SSVと合流していたGCV内へグルーの伸展がみられ,それに起因したGCV内の血栓形成がみられた.下肢の張り感を認めたため術後23日目に抗凝固剤を処方し,GCV内の血栓がなくなり通過状態に問題がないのを確認できた術後45日目まで抗凝固剤の内服を継続した.SSVには破格が多いため術前の解剖学的診断が重要であり,SSVとGCVが合流する症例では,本例のようなEGITが起こりうることを念頭に置く必要がある.

  • 内田 智夫
    2022 年 33 巻 3 号 p. 273-276
    発行日: 2022/07/29
    公開日: 2022/07/29
    ジャーナル オープンアクセス

    下腿潰瘍からの出血を伴った大伏在静脈瘤に対し,フォーム硬化療法単独による治療が奏功した症例を報告する.48歳(初診時),男性,インドネシア人.左下腿からの出血を主訴に当院を受診した.下腿前方に15×20 mm大の皮膚潰瘍を認め潰瘍部に凝血が付着し自然に止血された状態であった.超音波検査では左大伏在静脈の逆流を全長に認め血管径は10 mm程度であった.手術を勧めたが医療費の負担が少ない治療を強く希望した.このため,ポリドカノールによるフォーム硬化療法を行った.初日は3%を使用し,2日後,4日後,7日後に閉塞不十分な部位に1%を使用して追加治療した.初回治療から39日後の診察では静脈瘤ならびに潰瘍の縮小を確認できた.再発の懸念があることを説明し有事受診を指示した.5年後(53歳)に来院したが静脈瘤や潰瘍の再発は認めず軽度の色素沈着があるのみで,超音波検査でも大伏在静脈の縮小を確認できた.

  • 杉山 悟, 𦚰 直久, 松原 進
    2022 年 33 巻 3 号 p. 277-281
    発行日: 2022/08/11
    公開日: 2022/08/11
    ジャーナル オープンアクセス

    小伏在静脈領域の再発性下肢静脈瘤に対して術後神経障害を避けるためシアノアクリレート系接着材による血管内治療(cyanoacrylate closure: CAC)を選択した症例を経験したので報告する.症例は52歳,女性.9年前に左小伏在静脈(SSV)のストリッピング術を受けているが,同側膝窩部に再発を来して易疲労感を主訴に来院した.超音波検査で,左下肢のSSVの外側を走行し膝窩静脈に流入する拡張した静脈(重複SSVのうち外側SSV)が静脈瘤を形成していた(C2r,3-S Ep As Pr SSV 重症度分類VCSS; 5).外側SSVには外側腓腹皮神経が近接して走行しているため術後神経障害を避ける目的で,外側SSVに対してCACを選択した.同時に瘤切除を施行し,さらに残存瘤に対して後日硬化療法(1%ポリドカノール)を追加した.術後は神経損傷なく静脈瘤の消退を認め,自覚症状は改善した.SSVおよびその近傍の下肢静脈瘤ではしばしば神経損傷に留意する必要がある.神経がすぐ近傍を走る場合は硬化療法が第一選択であるが,CACも選択肢の一つとなると考える.

  • 音琴 真也, 廣松 伸一, 姉川 朋行, 中村 英司, 大塚 裕之, 田山 栄基
    2022 年 33 巻 3 号 p. 283-287
    発行日: 2022/08/11
    公開日: 2022/08/11
    ジャーナル オープンアクセス

    症例は39歳の女性で職業は調理師の方.不正性器出血を主訴に婦人科を受診し子宮内膜癌の診断となった.同時に右上肢の腫脹を認め,鎖骨下リンパ節転移によるリンパ浮腫を疑われ当科紹介となった.造影CTでは静脈相で右鎖骨下静脈の鎖骨と第一肋骨に挟まれた部位に血栓を認めた.以上より子宮内膜癌が誘因となったがん関連静脈血栓症であると同時に,Paget-Schroetter症候群と類似した慢性刺激も発症機序となった可能性がある上肢深部静脈血栓症と診断した.抗凝固療法による治療を第一選択と考えたが,不正性器出血が継続するため,抗凝固・血栓療法は行わず,子宮全摘を先行した.右上肢の腫脹は,抗凝固療法は行っていなかったが,術前には軽快し,疼痛も軽減していた.術後はアピキサバンによる抗凝固療法を行い,右上肢の腫脹は著明に改善し,現在アピキサバンの維持療法を継続している.

  • 内田 智夫
    2022 年 33 巻 3 号 p. 307-310
    発行日: 2022/11/16
    公開日: 2022/11/16
    ジャーナル オープンアクセス

    静脈性血管瘤は静脈の蛇行や延長を伴わない限局性の拡張病変でさまざまな部位の報告があるが上肢の発生はまれである.今回,手背の静脈性血管瘤を診療したので報告する.症例は,73歳女性.約5年前より手背の表在静脈の拡張を自覚し徐々に増大してきたため当院を受診した.患者の申し出によれば同部位の打撲や注射処置などの明らかな誘因はなかった.左手背に径16×13×5 mm, 平滑・軟の静脈の拡張を認めたが,拍動はなく上肢の拳上や圧迫では腫瘤の大きさは変化しなかった.血管超音波検査では,内部に非拍動性血流を認めたが内腔の大部分は血栓付着が疑われた.患者の希望により局所麻酔で切除術を行った.約1 cmの皮膚切開を加え静脈性血管瘤に連続する血管3本を結紮し切離したのち,血管瘤全体を遊離し切除した.予測に反し瘤内には血栓は認められなかった.病理所見は内膜および中膜の平滑筋組織が増生した静脈性血管瘤であった.

  • 竹歳 竜治, 樋口 基明, 和田 敏裕, 唯根 弘
    2022 年 33 巻 3 号 p. 311-315
    発行日: 2022/12/26
    公開日: 2022/12/26
    ジャーナル オープンアクセス

    静脈血栓塞栓症の予防の一つに早期歩行が挙げられるが,手術後は運動機能低下や合併症により早期歩行が阻害される場合がある.手術前リハビリテーションによる手術前評価を行うことは早期歩行を阻害する要因の予測に繋がる可能性がある.今回,手術前リハビリテーション時に下肢筋力評価,運動耐容能評価,呼吸機能評価の身体機能評価に加え,精神機能評価を行った10例を対象に手術後の早期歩行の可否,深部静脈血栓症の有無,手術後の全身状態を調べた.結果,手術前に身体機能が保たれていた症例では手術後の早期歩行が可能であった.一方,手術前評価で6分間歩行距離が低下していた2例は術後人工呼吸器管理となり早期歩行を達成できず,内1例で深部静脈血栓症を認めた.同症例は身体機能評価のすべての項目に加え精神機能の低下と貧血を認めた.術前の身体機能の評価のみならず精神機能や貧血の有無も手術後の早期歩行の可否を予測する上で有効であることが示唆された.

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