2000 年 11 巻 3 号 p. 271-276
深部静脈血栓症は,近年わが国でも少なくないことが示され,合併症としての肺梗塞は無視できない疾患として注目されてぎた.深部静脈血栓症の治療には保存的療法(抗凝固,血栓溶解)と外科的な血栓摘除術がある.治療目的は疼痛,腫脹を取り,静脈壊死を予防,肺梗塞の予防と,血栓後後遺症を避けることである.このいずれの治療法も早期診断,治療しか効果がない.静脈血栓摘除術は適応と手技を確実に行えば保存療法より効果はより確かな方法であろう.すなわち適応として腸骨領域に限局した早期静脈血栓に対しフォガーティカテーテルなどを用い肺梗塞,静脈損傷,出血,血栓の遺残などを注意して行えば,卜分その目的にかなう術式である.その術式につき具体的に方法を紹介した.