2003 年 14 巻 5 号 p. 367-372
2001年1月から2002年12月までの2年間に当科を初診した下肢静脈瘤症例243例350肢を対象に画像診断法とその結果を検討した.第一選択の検査としてカラー・ドプラ法が295肢(84.3%)に施行され,手術適応・術式が決定された.カラー・ドプラ法では不十分であった情報を補完する目的で静脈(瘤)造影検査が45肢に行われたが,これはカラー・ドプラ法施行例の15%にすぎず,多くの症例ではカラー・ドプラ法のみで必要十分な情報が得られた.
さらに手術に際しては,10MHzの探査子によるBモード法の観察下にマーキングを行い,厳密に皮膚切開位置を決定した.
大伏在静脈領域に解剖学的破格がまれに存在することからも何らかの画像診断検査は不可欠であり,下肢静脈瘤診療においてカラー・ドプラ法を含めた超音波診断法はもっとも有用な検査手段である.