深部静脈血栓症への理学的予防法の臨床応用について筆者らの知見に文献的考察を加えて記述した.医療器具,装置を必要としない単純な理学的予防法(下肢運動,マッサージ,下肢挙上,深呼吸)の中では,足関節運動,マッサージが推奨される.運動,マッサージは,力強くおこなうことが大切である.足関節運動としては,足関節背底屈運動が深部静脈血栓症予防として適当である.間欠的空気圧迫法(calf pump)では,45mmHg程度の圧迫圧が選択される.弾力ストッキングと間欠的空気圧迫法の併用はとくに現状では禁止する根拠がないと考えられる.