2004 年 15 巻 4 号 p. 327-332
過去19年間に外科的治療を行った悪性腫瘍に起因したSVC症候群は6例であった.浸潤性胸腺腫3例中2例には血行再建を含めた腫瘍完全切除を行い,残りの1例には不完全切除兼バイパス術を行った.肺癌,食道癌各1例には切除不能のためバイパス術のみを行い,子宮癌1例にはステント留置術を行った.術後,SVC症候群は5例で改善し,残りの1例では術後早期のグラフト閉塞のため改善しなかった.血行再建を含む腫瘍完全切除術,ステント術の予後は良好であった.バイパス術はSVC症候群が改善されるものの予後不良で早期に癌死した.
浸潤性胸腺腫に由来したSVC症候群は手術の良い適応であるが,他の悪性腫瘍によるものは侵襲の少ないステントが第一選択と考えられる.