2004 年 15 巻 5 号 p. 385-390
ストリッピング術を行った58肢を,全長ストリッピング(conventional stripping,全長群,14肢)と,大腿限局ストリッピング(limited stripping,大腿群,37肢)に分け,空気容積脈派法(air plethysmography: APG)で静脈機能を評価した.術前は,全長群のvenous filling index (VFI)が大腿群より有意に高かったが(9.6±4.2 vs. 7.0±3.6ml/秒,p <0.05),その他,venous volume(VV),ejection volume (EV),ejection fraction (EF),residual volume fraction (RVF)に差はなかった(n.s.).術後は,VVが全長群で149±50 mlから109±32 mlに,大腿群で151±45 mlから111 ± 31 mlに,VFIは全長群で9.6±4.2 ml/秒から2.7±1.9ml/秒に,大腿群で7.0 ± 3.6 ml/秒から1.9±1.1 ml/秒に,EVは全長群で62±26mlから40±20mlに,大腿群で61 ± 32から46 ± 28 mlに有意に低下した(それぞれp<0.01).EFは全長群(39±11% vs. 35±14%),大腿群(40 ± 15% vs. 40±14%)で差がなかった(n.s.).RVFは全長群で軽度減少し(51±12% vs. 46±14%,p=0.09),大腿群で有意に減少した(48±13% vs. 41±14%,p<0.05).瘤切除と不全穿通枝結紮を適切に行えば,大腿限局ストリッピング術は全長ストリッピング術と変わらない静脈機能の改善が得られた.