2004 年 15 巻 5 号 p. 409-414
症例は,63才女性.呼吸困難と失神を主訴に近医を受診し,胸部造影CT及び心エコーにて,巨大右心内浮遊血栓を伴う急性広汎型肺血栓塞栓症と診断され,当院に緊急搬送となる.当科にて血栓溶解療法施行することとし,経皮的心肺補助装置(PCPS)準備下にて血栓溶解剤を末梢静脈より投与した.投与30分後に右心内血栓は完全消失し,投与60分後には右室-右房圧較差は55mmHgから31mmHgへと低下した.酸素マスク8l投与下酸素分圧も84mmHgから217mmHgまで改善した.投与90分後の肺動脈造影では,CTで認められた主肺動脈の血栓はほぼ消失し末梢肺動脈内に残存血栓を多数認めたが,その後の抗凝固療法にて残存血栓もほぼ消失し,第25病日退院となった.右心内浮遊血栓を有する肺血栓塞栓症患者に対し,心エコーモニター下に血栓溶解療法が著効した一例を経験したので,文献的考察を加え報告する.