静脈学
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総説
急性肺血栓塞栓症に対する下大静脈フィルター治療
佐久間 聖仁中村 真潮中西 宣文宮原 嘉之田邊 信宏山田 典一栗山 喬之国枝 武義杉本 恒明中野 赳白土 邦男
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2008 年 19 巻 1 号 p. 23-28

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抄録

下大静脈フィルターは深部静脈血栓症からの遊離血栓捕捉を目的として,急性肺血栓塞栓症治療に日本では積極的に用いられてきている.急性近位部深部静脈血栓では下大静脈フィルターは肺塞栓症を減少させたが,反復性深部静脈血栓を増加させ,死亡率には影響しない.しかし,急性肺血栓塞栓症を対象とした場合,死亡率や診断後の急変を減少させた.フィルター関連合併症を増加させないため,非永久留置型フィルターを1週間以内に留めるべきであるという報告がある.抗凝固療法の慢性期での併用に関しては,血栓塞栓症を減少させるというエビデンスはない.エビデンス・レベルの高い下大静脈フィルターの臨床研究は少なく,未だ下大静脈フィルターの利点,欠点が充分には明らかではなく,今後のいっそうの研究が望まれる.

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