2011 年 22 巻 4 号 p. 315-319
下肢静脈瘤手術治療に対する診療報酬が適正なものであるかどうかの評価を,手術材料のキット化のためのシステム(Opera MasterTM)の導入とともに行った.当院で平成21年3月より9月までに行った下肢静脈瘤手術61例(ストリッピング手術45例および高位結紮術16例)を対象とした.ストリッピング手術の平均では,コストが87,279円であったのに対し診療報酬の平均は166,208円であり,1件あたり78,929円の利益が得られる計算となった.それに対して高位結紮術の平均はコストが40,126円であったのに対し診療報酬が35,968円とマイナスとなった.赤字の原因となる人件費や減価償却費は病院固有の部分もあり,他院でも同様の結果となるとは限らないが,今回の計算からは高位結紮術に対する保険点数は現状では低すぎると考えられた.