静脈学
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プラクティカル・フレボロジー
静脈血栓塞栓症の新しい抗凝固療法
中村 真潮山田 典一伊藤 正明
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 27 巻 3 号 p. 335-342

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抄録

静脈血栓塞栓症(VTE)の治療の第一選択は抗凝固療法であり,従来から日本では用量調節が必要な未分画ヘパリンとワルファリンが使用されてきた.いずれも調節に難渋するためVTE 再発が少なくなく,また出血性合併症も高率だった.近年,非経口Xa 阻害薬フォンダパリヌクス,ならびに非ビタミンK 阻害型経口抗凝固薬(NOAC)/ 直接経口抗凝固薬(DOAC)のエドキサバン,リバーロキサバン,アピキサバンが,日本でもVTE に対して使用できるようになった.従来治療よりも安定した効果を発揮し,その結果,有効性や安全性でより有用性が高いと考えられる.NOAC/DOAC はunprovoked VTE などでより長期間の再発予防を可能にする.また,発症初期からのNOAC/DOAC のみによる治療,ならびに入院期間の短縮や外来治療を可能とする.さらに,癌患者に対するより安全な抗凝固療法など多くの可能性があり,たいへん期待される治療薬である.一方で,脆弱性が高い患者に対する投与法や長期投薬期間など,今後エビデンスを構築しなければならない部分も少なくない.

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