日本写真学会誌
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講座
カラー銀塩感光材料の技術革新史
第3部 色素転写―インスタントカラー写真
大石 恭史
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2009 年 72 巻 4 号 p. 278-299

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抄録

色素転写に基づくインスタント写真技術の創出と進化の歴史を,その流れを大きく方向付けた次の主要な転換点における技術革新過程に重点を置いて解説する:1)インスタント写真の創出―Land,1948年(画像形成物質の転写による1ステップ処理),2)インスタントカラー写真の登場,色素現像薬によって実現―Polaroid社,1963年(発色現像からの決別,既成色素をもつ現像薬とネガ乳剤からの直接ポジ色像の形成,感材設計制約多し),3)別の化学系(レドックス色素レリーサー/高感度オートポジ乳剤)を用いたインスタントカラー感材の導入―Kodak社,1976年(設計制約の軽減によるカラー画質の大幅な向上)と富士フイルム社の追随,4)一体型フィルムユニットによる究極的1ステップ写真の実現―Polaroid社,1972年.この一体型ユニットを巡るPolaroid社対Kodak社間の大規模な特許係争(1976~86年)は業界に甚大な影響をもたらした.

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© 2009 社団法人 日本写真学会
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