2009 年 72 巻 4 号 p. 306-314
われわれは,カラー動画像のH.264/AVC圧縮に起因する劣化を,主観評価と高い相関性をもって評価できる客観評価方法の開発を進めている.前報では,視覚の空間周波数特性を考慮したS-CIELABを改良した手法を提案した.また,ちょうど劣化に気付くレベルの圧縮画像に対して提案手法で算出された客観評価値が,コンテンツによって大きくばらつかないことを示した.本報ではまず,コンテンツ数を増加してこのばらつきが小さいままであることを確認した.さらに,劣化に気付く圧縮レベルに関して,その主観的な評価値と提案手法による客観評価値との間の相関性を調べたところ,この点でもコンテンツ依存性が少なく,他の客観評価方法よりも優れていることを確認した.