ペロブスカイト太陽電池は色素増感太陽電池の研究から派生した技術であり,また色素増感太陽電池と有機薄膜太陽電池が融合した技術でもある.ペロブスカイト太陽電池は塗布プロセスで作製できるにもかかわらず,シリコン太陽電池に肉薄する25%以上の効率を達成しており,現在,大面積モジュール作製等の実用化研究に移行しつつある.一方,従来のハロゲン化ペロブスカイト層には鉛イオンが使われており,環境の観点や理論効率の高さの観点から錫系ペロブスカイト太陽電池が注目されている.しかし,鉛系ペロブスカイトと異なり,結晶欠陥が多く高効率化は困難と思われていた.結晶欠陥密度を低くする方法を提案することにより,効率は向上しており鉛フリーペロブスカイト太陽電池で14-15%,鉛含量を低減した錫鉛混合ペロブスカイト太陽電池の効率は23-24%と同じ逆構造の鉛系ペロブスカイト太陽電池の効率を凌駕するに至っている.これらの太陽電池は単接合太陽電池の理論限界効率である33%を超えるペロブスカイトタンデム太陽電池のボトム層として有望視されている.