「写真技術史のパイオニアたち」の第 3 報である.第 1 報で報告したフランス議会での Arago のダゲレオタイプ年金法案は, ヴィクトリア朝の科学者 Talbot の競争心を煽った.その結果 Talbot は,1840 年に見えない「潜像」を化学的に増幅し, 可視化させる「現像」法を発見し,翌年カロタイプと称して特許取得した.本報の第 2 章では,カロタイプ法とその実用 例である写真集出版について述べる.第 3 章では,1853 年にコロジオン写真の普及を目指して設立された写真協会と, コロジオン写真はカロタイプ特許権の範疇であると主張する Talbot との間の特許裁判に関して述べる.そして筆者は Talbot を,今日に至る近代写真技術の父として紹介する.