日本写真学会会誌
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各種寫眞乳劑に及ぼす増感染料の濃度の影響
福田 神郎中澤 義行
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1943 年 8 巻 1-2-3-4 号 p. 43-47

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抄録

以上我々はgrain sizeの異なる中性及びアンモニヤ乳劑六種類を作り或る特定の染料を加へてその影響を調べた。この結果次のことが認められた。
1,感度は一般に染料濃度の増加に伴つて増大するが最適點を越えると再び低下する。
2,ガンマも同樣の傾向がある。
3,カブリはアンモニヤ乳劑では染料濃度の増加と共に増えるが或る點を過ぎると再び減少する。中性乳劑では染染濃度の増加に伴つて増えるのみである。
4,一般に染料濃度が小さい場合は短波長部に色感極大を有して居るが濃度の増加に伴ひ極大は長波長部に移動する。
5,アンモニヤ乳劑では染料濃度の高い場合はSolarizationを起す傾向が認められるが中性乳劑では此の傾向は認められなかつた。
併し以上の關係は普遍的なものでなく乳劑が異つたり,染料が變つたりすれば又違つた結果を示すと考へられる故,實用價値のある新型乳劑が作られた場合は現在使用して居る各染料に就いてその濃度と感度其他の關係を調べておき,又優秀な染料が新しく合成せられた時は型の異なる種々の乳劑に對して同樣な試驗をなしておくことは寫眞乳劑製造上大變意義のあることと考へられる。

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