日本写真学会誌
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超硬調印刷製版用フィルムに於ける低pH造核技術
山田 耕三郎
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1998 年 61 巻 3 号 p. 163-174

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抄録

近年, 写真処理廃液量の低減が強く求められており, 印刷製版用写真フィルムとしては補充量を大幅に低減できる新たなシステムの開発が切望されていた。この為にはある程度劣化の起きた現像液でも, 安定に高品質の仕上がりが確保出来る,「処理安定性」の高い低pH超硬調系印刷製版システムの開発が必要であった。そこで我々はこの様な社会的要請に答えるべく, 新システム開発のキー技術である低pH造核技術 (造核剤および造核促進剤) について検討を加えた結果, 全く新規でユニークなアシル基 (2-カルボキシテトラフルオロプロポキシ基等) を有するヒドラジド系造核剤の開発に成功し, 同時にまた従来にないオニウム塩系造核促進剤の開発にも成功した。前者は, アシルヒドラジン造核剤の造核活性に及ぼす速度論的解析研究を基に, 巧みな分子設計により見出されたものであり, 研究を通じて造核活性の支配要因を明確化できた。また後者のオニウム塩系造核促進剤については, これらが造核剤からの電子注入効率を向上させていることを明らかにした。

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