日本写真学会誌
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知恩院・京都写真発祥の地-堀内信重の業績
中川 邦昭
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2004 年 67 巻 2 号 p. 198-206

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抄録

京都での写真撮影の始まりを検討し, 定説であった堀与兵衛ではなく, 堀内信重が先駆であること, また, 彼が撮影条件の一定しない屋外で, すぐれた技術を駆使して観光写真を撮影していたことを示す.知恩院の寺徒の家に生まれた堀内信重は, 江戸時代末期に京都で亀谷徳次郎と出会い, 写真術を修得した.堀内は被写体が特定でき, 写真業を生業とした, 京都で最も古い写真師であると判定される.知恩院を訪れた参拝客や観光客を対象に写真撮影の営業を行なっていた彼は, 京都で初めての観光写真家であったと考えられる.
堀内の写真について, 当時の風俗との関係, 同時代の写真や絵画からの影響などについても考察する.

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