日本写真学会誌
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光重合型フォトポリマーによるホログラム記録
光重合速度とホログラム特性との関連
小関 健一森 悠子
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2006 年 69 巻 5 号 p. 335-339

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抄録

反応性, 屈折率ともに高いアクリレートモノマーと, 反応性, 屈折率ともに低いメタクリレートモノマーという, 性質の異なる2種類のモノマーによる可視光重合型フォトポリマーを用いて, 透過型ホログラムの記録を行った. この記録材料における屈折率変調ホログラムの形成機構が, 高反応性モノマーの拡散移動によることから, 光重合に伴うネットワーク形成過程と, ホログラム特性との相関を明らかにすることを目的とした. 光重合速度の違いにより, ネットワーク形成速度を変化させ, 重合速度と回折効率との相関を求めた. その結果, 初期重合速度の増加に伴い, 回折効率は低下した. これは光重合に伴う多官能モノマーの重合速度が速くなると, 急速に密なネットワークが形成され系のガラス転移温度が上昇し, 干渉縞の明部と暗部との間でのモノマーの移動が制限され, 干渉縞の明暗に対応する感光層内での屈折率差が小さくなることに帰因する. ホログラム特性は材料組成のみならず, 重合速度すなわちポリマーネットワークの形成速度などを決定するプロセス条件によりコントロールできることが明らかとなった.

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