順天堂医学
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原著
胃粘膜における銀反応陽性細胞の分布とその陽性細胞の成り立ちについて
鎌野 俊紀
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1976 年 22 巻 1 号 p. 36-46

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抄録
随伴性胃炎と銀反応陽性細胞との関連, 特に腸上皮化生の程度と銀反応陽性細胞の出現との関連に注目して次のような結果を得た. 対象はポリープ, 潰瘍, 癌で切除された胃標本100例を使用した. 好銀細胞にはGrimelius染色変法 (著者の変法), 嗜銀細胞には従来のMasson-Fontana染色を用いた. その結果銀反応陽性細胞の分布は, 主病巣の良悪性に関係なく, 島状に散在する腸上皮化生腺腔群ないしは, その周辺に多く認められた. そしてこの銀反応陽性細胞は大部分Grimelius染色, MassonFontana染色, 両方に染まることにより, 嗜銀細胞であった. そして螢光組織学的にもセロトニンを含有していることがわかった. 各疾患別にみた腸上皮化生の出現率と, この嗜銀細胞の出現率を比較してみると, 主病巣の影響というよりは, 主病巣に随伴する胃炎の中に出現する腸上皮化生の頻度と平行していた. この嗜銀細胞群を未熟な腸上皮腺腔群と呼ぶか, あるいはPseudo-Brunner腺 (偽ブルンネル腺) と呼ぶかについては, 速断は避けたいが, これまでの胃腺の腸上皮化生については酵素学的に小腸性, 大腸性の2種類がある事が明らかにされていたが, それに十二指腸のBrunner腺をもう一種つけ加えることにより, 慢性胃炎の違った1つの型を導入できたと思う.
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© 1976 順天堂医学会
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