順天堂医学
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総説
糸球体腎炎の臨床病理学的分類
富野 康日己
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1979 年 25 巻 4 号 p. 492-501

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抄録
糸球体腎炎の分類は, 今日一応の形態を整えてきているが, 今なお不十分なものである. その大きな理由の一つは, これらの分類が病変の原因に基づいたものでないという点にある. 今日, ヒトの糸球体腎炎の多くが糸球体を場とした免疫現象によって引き起こされる病変であることは異論のない点であり, 免疫学的基盤に基づく明確な分類の必要性にせまられている. しかし, このような免疫学的分類と臨床症状や組織像によった在来の分類との不一致が, 現在の糸球体腎炎における混乱の一因とも考えられる. 今回, 在来の臨床的分類・病理組織学的分類, 並びに免疫組織学的所見の各々を検討し, 更にこれら三者の相互の関連性を検討した. これら三者は複雑に関連し, 必ずしも一対一の対応を示すものではなく, これら相互の関連性をclear cutに表現することは仲々困難であった. しかし, 臨床症状および経過の正しい把握の上にたって, 免疫学的研究に基づいた形態学的検索をすすめていくことは, 糸球体腎炎の診断・治療の選択・予後の判定, 更にはその発生機序を明らかにする意味で重要と思われる.
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© 1979 順天堂医学会
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