順天堂医学
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原著
閉塞性黄疸に対する経皮的胆管ドレナージ (PTCD) 後の黄疸軽減効果と胆汁組成の関連について
小沢 国雄
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1981 年 27 巻 1 号 p. 24-39

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抄録
閉塞性黄疸に対する黄疸軽減法としての経皮的胆管ドレナージ (以下PTCD) は, 従来の手術的胆汁ドレナージに比べ, 患者への侵襲, 操作の簡単さ, 術後合併症の頻度などからみても優れた胆汁ドレナージ法である. しかし, PTCDを行なっても黄疸軽減の程度は症例により異なる. そこでPTCDによる減黄効果を胆汁組成の経時的変化・肝機能・疾患別・術中の肝生検像などから, 胆管の完全閉塞を伴った39例について検討した. PTCD前の肝機能からみても, 減黄効果有効例と無効例の間に有意の差はなかった. 疾患別では, 膵頭部癌や乳頭部癌のように閉塞が下部胆管ほど減黄効果は良かった. 胆汁組成面からみると, 胆汁量は300ml/日以上, ビリルビン量は150mg/日以上, 胆汁酸量は150mg/日以上, コレステロール量は150mg/日以上の場合, 減黄効果は良好であった. 特に胆汁中ビリルビン量が最も減黄効果を反映していた. 胆汁中の胆汁酸やコレステロールが少なくても減黄効果が得られる症例もあるが, これらは減黄にかなり日数を要し, 肝機能をみると, 肝実質障害が示唆されるような症例であった. その他, 胆汁中電解質やアルカリフォスファターゼとはあまり関係がなかった. また, 手術的胆汁ドレナージをPTCDと比べると, 胆汁量や胆汁中胆汁酸は術後2週閥まで量的に少なく, これは麻酔や手術侵襲による肝への影響と思われた. さらに, PTCD後に手術した症例の肝生検像でも減黄有効例と無効例の間に明らかな差がみられた.
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© 1981 順天堂医学会
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