順天堂医学
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原著
高尿酸血症患者赤血球の酵素活性に関する研究
--HGPRTase及びPRPP-ATaseについて--
鈴木 和彦
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1982 年 28 巻 1 号 p. 77-89

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抄録
近年, 痛風の原因として高尿酸血症を引きおこす, プリン代謝動態についての研究がなされつつある. 著者は, プリンヌクレオチドのde novo合成の律速酵素であるphosphoribosyl pyrophosphate amidotransferase (PRPP-ATase) を, 健康人及び原発性痛風患者の赤血球で調べたところ, 健康成人赤血球では, 3.50±1.2p moles/mg protein/20minであったのに比べ, 原発性痛風患者では, 2.26±1.4p moles/mg protein/20minと低値を示した. このことに関しての明確な説明は得られていないが, IMPが核酸合成に必要なAMP, GMPの方向に進まず過剰になり, このIMP濃度が高いため, 正常なPRPP-ATase活性を示さないなどの可能性が考えられた. また, salvage回路に関与する酵素であるhypoxanthine guanine phosphoribosyl transferase (HGPRTase) の測定結果は, 健康成人赤血球で, 48.7±14.0p moles/mg protein/20min (hypoxanthine), 40.9±8.6p moles/mg protein/20min (guanine) であったのに対して, 原発性痛風患者の赤血球では, 50.9±20.2p moles/mg protein/20min (hypoxanthine), 39.2±19.8p moles/mg protein/20min (guanine) でありそれぞれ有意の差がなかった. また, 昭和50年より52年までの3年間に, 自治体職員定期健康診断に際し施行した約3,000名の中から一度でも高尿酸血値を示した87名につき, その赤血球中HGPRTaseを測定したところ, 57.8±19.6p moles/mg protein/20min (hypoxanthine), 71.6±15.2p moles/mg protein/20min (guanine) の値を得たが, 健康成人と比べて有意差は認められなかった. しかしながら低活性値を示した者が11名いたことは注目に値する.
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© 1982 順天堂医学会
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