抄録
順天堂大学付属医院心身症外来開設後3年6カ月間に臨床各科より依頼された452名について調査, 検討し若干の見解を加え報告した. 1) 診療科別には内科からの依頼が最も多く73.9%を占め, その中では膠原病内科, 内科初診外来が比較的多かった. 2) 依頼症例の疾患別内訳は神経症38.9%, うつ病12.1%, 心身症11.5%, 心因反応10.6%, 症状精神病6.4%, 精神分裂病6.2%の順で, 精神疾患が総数の88.5%に及んだ. 3) 心身症及び仮面うつ病が疑われて依頼された症例が多いが大半は他の精神疾患であった. 4) 神経症では心身症科から精神科へ転科させることで, 治療中断に至る比率が有意に高くなった. 5) 心身症の症例は担当医がその治療や対応に困惑した結果, 依頼される傾向にあり, 心身医学本来の知識のみでは即応できない例も多かった. 6) 神経症を初めとする各種精神疾患が内科を中心に受診する傾向を認めた. 7) Consultation-Liaison Psychiatryの実践の場として心身症外来が機能することが重要と考えられた.