犬に気胸を作成し胸腔内ガス分圧に対する純酸素吸入, 肺動脈遮断, 主気管支閉塞の影響について研究した. 大気吸入下, 純酸素300mlを胸腔内に注入したところ胸腔内の酸素分圧は指数函数的に低下し半減期は約3時間であった. 吸入酸素濃度を100%とし, 純酸素300mlを胸腔内に注入すると胸腔内酸素分圧はほとんど低下せず630-640mmHgの間を維持した. この時のP
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2は約530mmHgであった. 気胸と同側の肺動脈遮断は胸腔内酸素分圧, 炭酸ガス分圧にほとんど影響を与えなかった. 純酸素吸入下, 気胸と同側の主気管支を閉塞するとP
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2は90mmHg位に低下したが, 胸腔内酸素分圧は約660mmHgで推移した. 犬気胸では, 純酸素吸入により酸素が臓側胸膜を介し直接肺胞から気胸腔へ拡散することが判明した. 以上の成績から胸腔内ガス吸収のメカニズムおよび純酸素吸入の自然気胸治療への応用の理論的根拠を論じた
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