順天堂医学
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30 巻, 1 号
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目次
Contents
特集 心身症の今日の課題
  • 赤沢 滋
    1984 年30 巻1 号 p. 1-10
    発行日: 1984/03/10
    公開日: 2014/11/20
    ジャーナル フリー
    順天堂大学付属医院心身症外来開設後3年6カ月間に臨床各科より依頼された452名について調査, 検討し若干の見解を加え報告した. 1) 診療科別には内科からの依頼が最も多く73.9%を占め, その中では膠原病内科, 内科初診外来が比較的多かった. 2) 依頼症例の疾患別内訳は神経症38.9%, うつ病12.1%, 心身症11.5%, 心因反応10.6%, 症状精神病6.4%, 精神分裂病6.2%の順で, 精神疾患が総数の88.5%に及んだ. 3) 心身症及び仮面うつ病が疑われて依頼された症例が多いが大半は他の精神疾患であった. 4) 神経症では心身症科から精神科へ転科させることで, 治療中断に至る比率が有意に高くなった. 5) 心身症の症例は担当医がその治療や対応に困惑した結果, 依頼される傾向にあり, 心身医学本来の知識のみでは即応できない例も多かった. 6) 神経症を初めとする各種精神疾患が内科を中心に受診する傾向を認めた. 7) Consultation-Liaison Psychiatryの実践の場として心身症外来が機能することが重要と考えられた.
  • 西條 敬
    1984 年30 巻1 号 p. 11-22
    発行日: 1984/03/10
    公開日: 2014/11/20
    ジャーナル フリー
    動悸・呼吸困難・胸痛・めまいや失神発作といった症状で循環器内科を受診する患者は極めて多く, そしてこれらの大部分はその誘因として何らかのストレスを有している. すなわち, 循環器内科の診療は種々のストレスの存在を考慮せずには成立し難いものとも考えられ, 循環器疾患は器質的心疾患の有無にかかわらず, 全てpsychosomatic disorderといえるかもしれない. こうした観点から, 今日の循環器疾患の診療に際して医師の果すべき役割を考えてみたい.
  • とくに神経性無食欲症について
    下坂 幸三
    1984 年30 巻1 号 p. 23-28
    発行日: 1984/03/10
    公開日: 2014/11/20
    ジャーナル フリー
    さいきんの医学界における流行語ともいえる摂食障碍 (H. Bruch) を表題としたが, このうち心因性肥満については, 既に本誌28巻1号, 1982年に発表したので, 今回は神経性無食欲症の診断と治療上の原則とについてのべた. ただし神経性無食欲症の経過中にみられる多食やこれに引続く嘔吐や肥満は, 本症に関する豊かな治療経験をもつ者にとってはなじみぶかい現象なのだが, これらの現象に関する知識は普及しているとはいい難いので, この点の記述にいささか力点をおいた. 治療については, 私の多年の治療経験に基づいて, 基本的に重要とおもわれる事項について, 文献に頼ることなく, 解説した.
  • 阿部 輝夫
    1984 年30 巻1 号 p. 29-38
    発行日: 1984/03/10
    公開日: 2014/11/20
    ジャーナル フリー
    性的機能障害に対して, セックス・セラピーが有用であることが認められてから10年以上が経過した. 我国でも治療を求める患者数の増加は著しいが, 適格に対応可能な治療者は未だ少数である. 現在行われているアメリカでのセックス・セラピーの現状について述べ, その実地臨床での診断・治療の進め方の特徴を, 筆者の若干の経験を加えて紹介する.
  • -コンサルテーション・リエゾン精神医学への展開-
    小此木 啓吾
    1984 年30 巻1 号 p. 39-58
    発行日: 1984/03/10
    公開日: 2014/11/20
    ジャーナル フリー
    心身医学と心身症の概要をあきらかにし, その臨床上の課題を述べ, その発生にかゝわる心的ストレスと対象喪失, これらに対する心身の反応としての情緒危機と悲哀の心理過程について, 具体的に解説した. 引きつづき, 心身医学からコンサルテーション-リエゾン精神医学への展開について展望するとともに, コンサルテーションとリエゾンの定義を述べ, それぞれの対象とリエゾンの仕組みについて概説した. さらにコンサルテーション-リエゾン精神医学は, 各科における症状精神病などの精神障害, 心身症, 医療状況における各科の問題ストレス反応などを包括的に扱うことを論じるとともに, 精神科医と各科医師, ナースなどの望ましい協力のあり方を述べた.
原著
  • --走査電顕像を中心として--
    星野 明彦
    1984 年30 巻1 号 p. 59-66
    発行日: 1984/03/10
    公開日: 2014/11/20
    ジャーナル フリー
    先天性溶血性貧血の代表的疾患であり, かつ常染色体優性遺伝形式を示した遺伝性球状赤血球症の2家系を報告するとともに, うち3症例について赤血球の走査電顕所見について検討した. その結果によれば球状, 円盤状およびカップ状赤血球の頻度はそれぞれ17-33%, 32-44%, 30-51%の範囲で認められた. また球状赤血球は必ずしもmicrospherocyteではなく, 大小さまざまなものが混在していた. カップ状赤血球の増加は著者らの3症例に特徴的な所見であろうと考えられた. 赤血球の走査電顕所見については小児科領域では極めて報告が少ない. 今後画像診断として小児の血液疾患に利用すべきものであろうと思われた.
  • -酸素吸入, 肺動脈遮断, 気管支閉塞の影響-
    工藤 英俊
    1984 年30 巻1 号 p. 67-76
    発行日: 1984/03/10
    公開日: 2014/11/20
    ジャーナル フリー
    犬に気胸を作成し胸腔内ガス分圧に対する純酸素吸入, 肺動脈遮断, 主気管支閉塞の影響について研究した. 大気吸入下, 純酸素300mlを胸腔内に注入したところ胸腔内の酸素分圧は指数函数的に低下し半減期は約3時間であった. 吸入酸素濃度を100%とし, 純酸素300mlを胸腔内に注入すると胸腔内酸素分圧はほとんど低下せず630-640mmHgの間を維持した. この時のPaO2は約530mmHgであった. 気胸と同側の肺動脈遮断は胸腔内酸素分圧, 炭酸ガス分圧にほとんど影響を与えなかった. 純酸素吸入下, 気胸と同側の主気管支を閉塞するとPaO2は90mmHg位に低下したが, 胸腔内酸素分圧は約660mmHgで推移した. 犬気胸では, 純酸素吸入により酸素が臓側胸膜を介し直接肺胞から気胸腔へ拡散することが判明した. 以上の成績から胸腔内ガス吸収のメカニズムおよび純酸素吸入の自然気胸治療への応用の理論的根拠を論じた
  • -胆道擦過細胞診の開発および胆汁浮遊細胞診との比較検討-
    佐藤 修
    1984 年30 巻1 号 p. 77-83
    発行日: 1984/03/10
    公開日: 2014/11/20
    ジャーナル フリー
    PTCDを利用した胆汁浮遊細胞診 (以下胆汁細胞診と略) は現在広く行われているが, 採取細胞が少なく, 胆汁による細胞の変性という問題点がある. これらの欠点を補うために, 著者は経皮経肝的胆管ドレナージ (以下PTCDと略) からの胆道擦過細胞診 (以下擦過細胞診と略) を開発した. 擦過細胞診においては, 新鮮な変性の少ない細胞が多数採取され著明な診断率の向上を認めた. 胆道系の良性・悪性疾患74例の同一症例に胆汁細胞診, 擦過細胞診を行った. 胆汁細胞診では63.5%の正診率であったが, 擦過細胞診では93.2%の正診率であった. 悪性疾患についてみると, 胆汁細胞診では52.1% (25/48) であったが, 擦過細胞診では93.8% (45/48) であった. 胆管癌, 膵頭部癌, 十二指腸癌, 胃癌再発の悪性疾患において特に高い正診率であった. 胆道系疾患の診断に, 胆道擦過細胞診は非常に有用な方法である.
抄録
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編集後記
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