順天堂医学
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原著
ループス腎炎に対する二重膜濾過血漿交換療法
津田 裕士
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1984 年 30 巻 4 号 p. 484-489

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抄録
ループス腎炎の治療はステロイド剤・免疫抑制剤の使用により改善をみる例もあるが, 一部治療低抗性の例もあり予後も悪い. 著者の教室では, 以前より血漿交換療法がループス腎炎に有効例も多いと報告してきた. しかし, 血漿交換は代用血漿として新鮮凍結血漿を用いるため, その副作用を無視できない. 二重膜濾過血漿交換療法 (以下DFPE) は他人の血液製剤を用いずに施行できるため, 一定の適応基準及び併用治療法を設定し, 施行した. DFPEをSLE10例に施行し, 7例に有効, 2例にやや有効, 無効1例という結果を得た. 尿蛋白も4週後で8例中7例で改善し, 6ヶ月後でも4例中3例に改善が継続していた。副作用では致命的なものはなく, 発熱2例, 出血傾向, 溶血, 浮腫が1例ずつであったがすべて軽微であった. 以上より, ステロイド剤, 免疫抑制剤の併用下でのDFPEは, ループス腎炎に対し, 高率に有効であることが認められ, 十分効果が期待できると考えた.
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© 1984 順天堂医学会
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