2020 年 25 巻 2 号 p. 323-328
44歳女性.突然意識消失し,救急車を要請した.救急隊接触時,JCS Ⅲ‒300,橈骨動脈触知不能,モニター心電図にて心室細動を認めた.心肺蘇生が行われ,心拍再開し,当院へ救急搬送された.クモ膜下出血と左椎骨動脈は鎖骨下動脈分岐後よりtapering,string of beads sign,壁不整を認め,頭蓋内椎骨動脈は後下小脳動脈の近位側・遠位側にtaperingを認めた.FMDに伴うPICA分岐部を含む椎骨動脈解離によるクモ膜下出血と診断し,血管内治療による左椎骨動脈母血管閉塞を行った.mRS 2で自宅退院し,発症より21か月経過し,頭頚部MRAにて新たな血管病変は認めなかった.FMDに伴う椎骨動脈解離はアクセスルートに病変を認めることも在り注意を要するが,非FMDと同様に母血管閉塞が有効と考える.