順天堂医学
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特集 薬剤の適正使用―抗生物質を中心として
選択毒性と耐性の機序
横田 健
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1985 年 31 巻 4 号 p. 479-487

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抄録
感染症の化学療法は, 選択毒性の明らかな抗生物質, 合成抗菌剤を全身投与し, 疾病を治すことである. しかしその歴史が半世紀近くになるので, 耐性菌の増加等による難治感染も増加した. 耐性菌の増加は多彩な遺伝学的現象の結果なので, それを薬剤で防止することはできない. 薬剤を耐性菌にも効くように化学修飾するのが対策となるが, まだ同一臨床症状を示す総ての病原細菌に有効なものすら完成していない. 現時点では各種感染症に最適の薬剤を選択し得る見識が要求される. 起因菌の分離, 同定, 薬剤感受性試験の結果が待てない時の薬剤選択の基礎は患者の免疫状態である. さらにMRSAのような強毒菌の耐性株に対してはあらかじめ治療法を確立しておく必要がある.
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© 1985 順天堂医学会
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