抄録
抗生物質の生体内動態の推定法と問題点について記した. 血中濃度の測定と薬動力学的解析法, 蛋白結合, 抗生物質の排泄経路などをまとめて述べた. 血中濃度測定法に関しては, 方法論とその誤差, 利用上の問題, 血中濃度曲線の解析法におけるサンプリング時間とPharmacokinetic facter変動の実例をあげて解説を試みた. 血中濃度, 吸収, 排泄のモデル化によるシミュレーションはサンプリング時間と測定技術の正確さ, 精密さによって変動が大きく, 方法論の統一は無理としてもsurveyによりデータに普遍性を持たせる必要がある.
蛋白結合率の測定法, 測定値の解釈と利用に関しても抗菌活性の測定が定量的厳密さを求め得ないことと併せて検討すべき問題である.