順天堂医学
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原著
高血圧を伴う慢性糸球体腎炎患者の尿中Dopamine排泄に関する臨床的研究
山下 秀光
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1985 年 31 巻 4 号 p. 531-539

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抄録
慢性糸球体腎炎 (CGN) 患者37例, 健常者11例について, furosemide (FM) 投与前後で尿中遊離dopamine排泄量, 尿中kallikrein排泄量および尿中Na排泄量を検討し, 以下の結果を得た。 1) FM投与前後共に尿中遊離dopamine排泄量は高血圧のあるCGN患者 (境界域高血圧と高血圧を含む) で健常者に比べて有意に低下していた. 2) 尿中遊離dopamine排泄量/creatinine clearance (Ccr) は高血圧のあるCGN患者でFM投与前では正常血圧のCGN患者より, FM投与後15分では健常者より有意に低下していた. 3) FM投与前後の尿中遊離dopamine排泄量と尿中Na排泄量は健常者, CGN患者において正の相関があった. 4) 尿中遊離dopamine排泄量は, FM投与前およびFM投与後15分でCGN患者において平均血圧と負の相関があった. 5) FM投与前後で尿中kallikrein排泄量は高血圧のあるCGN患者と健常者とで有意差を認めなかった. 以上の結果より, CGN患者ではdopamineが血圧の調節と腎でのNa排泄調節に重要な役割があることを示唆している.
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© 1985 順天堂医学会
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