順天堂医学
Online ISSN : 2188-2134
Print ISSN : 0022-6769
ISSN-L : 0022-6769
特集 癌の集学的治療
急性白血病の治療とその問題点
-特に感染症を中心に-
富田 倫代阿部 総太郎堀江 誠一石山 泰二郎宮山 龍雄菅谷 直樹若林 芳久広瀬 俊一
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 32 巻 3 号 p. 292-297

詳細
抄録
1981年1月より1986年1月までの約5年間に, 順天堂医院に入院した急性白血病49例, 成人T細胞白血病2例について, 特に感染症を中心に, 治療上の問題点について検討を行った. BHAC-D (A) MP療法の導入後, 初回寛解導入は80%以上に改善した. しかし依然として, 感染症と出血が, 直接死因の54%を占め, 感染症では, 敗血症・敗血症疑い, および呼吸器感染症が90%以上であった. 感染症の起因菌は, 不明が49.2%, 起因菌が明らかになった中では, グラム陰性桿菌が53.0を占めた. また, 感染症発症時の好中球数は500/mm3未満の症例が59.4%, 1,000/mm3未満では69.3%であった. γ-グロブリン製剤の予防的投与についても検討を行ったが, 有効性はみとめられなかった.
著者関連情報
© 1986 順天堂医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top