順天堂医学
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特集 癌の集学的治療
活性化リンパ球を用いた脳腫瘍の治療
-Interleukin 2依存性腫瘍特異的キラーT細胞株を用いて-
北原 聰樹
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1986 年 32 巻 3 号 p. 282-291

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抄録
脳腫瘍患者において, 自己腫瘍特異的CTLを誘導できた. それらのCTLをIL2添加培地で, 培養することにより, 高いkiller活性を有する, IL2依存性CTL継代培養株 (IL2-CTL) を樹立することができた. 8例の患者に, IL2-CTLを脳腫瘍局所に, 投与するlocal adoptive immunotherapyを施行し, 3例に, CT上腫瘍縮小率50%以上という良好な結果を得た. この療法の副作用としては, 1例に急性期一過性の頭痛・嘔気・発熱・軽度意識障害が, 慢性期にOKT4+細胞減小, Leu7+細胞増多, リンパ球幼若化能の低下, ツベルクリン反応の陰性化, 低ナトリウム血症の出現を見たが, 投与を繰り返すうちに, 諸症状は出現を見なくなり, 検査上の諸変化も正常化した. 他の7例においては, 全く副作用を認めなかった. 今後, IL2-CTLによる脳腫瘍のlocal adoptive immunotherapyは, 症例・投与量・投与法等に考慮を払うことにより, 腫瘍治療の有力な手段となりうるであろう.
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© 1986 順天堂医学会
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