順天堂医学
Online ISSN : 2188-2134
Print ISSN : 0022-6769
ISSN-L : 0022-6769
原著
回盲部切除後の腸管運動と胆汁酸代謝動態の変化についての実験的研究
福島 文典
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 33 巻 3 号 p. 363-372

詳細
抄録
回盲部切除後に発生する種々の機能障害は, いまだ病態の解明が不十分であるが, 近年回盲部切除後の腸管運動の変化, さらに下痢の発生に胆汁酸の作用が関与するといわれている. この病態を解明する目的で, 回盲部切除犬を用いてforce transducer・X線撮影により腸管運動の変化を観察し, 同時に糞便中・血清中の胆汁酸を測定した. 回盲部切除により大腸運動は亢進し, 腸管内容の通過時間の短縮を認めた. 一方, 大腸内の総胆汁酸・DCA・CDCAは増加し, これが大腸粘膜に作用し大腸運動亢進の一因となると思われた. 回盲部切除による括約機能の廃絶と胆汁酸の大腸内増加は, 大腸運動の亢進, ひいては下痢発生と密接に関係していることが示唆された.
著者関連情報
© 1987 順天堂医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top