抄録
医療の進歩に伴う血液製剤の需要増加に対応するため, 合理的で且つ有効利用に役立つ成分輸血が導入されたのは昭和50年初頭である. 以後十数年, 現在では少なくとも数字で見る限り成分輸血も一般的となり, その普及ぶりがうかがえる. しかしその使われ方を見ると, 必ずしも正しく順調な経過をたどってきたとはいいがたい. すなわち, 成分輸血で手軽く入手できるようになった新鮮凍結血漿や血小板の使用が目立つこと, また本来, 輸血の根幹をなすべき赤血球への転換が不十分で, 未だ特に外科系では全血指向の傾向がうかがえることである. 一方, アルブミンなどを中心とする血漿分画製剤もここ数年爆発的ともいえる急増を示し, その96%近くを外国よりの輸入に依存して来たことである. 国ではこれら血漿分画製剤の国内自給自足を目ざし, 昭和61年4月戦後長く続いてきた採血基準を改め, 新たに400ml採血と成分採血の導入に踏み切った. そして一方, 使用者側である医師に対しては血液製剤の適正使用のガイドラインが示され, 献血による貴重な血液の適正, かつ有効な使用が強く望まれるに至った. ここでは各成分の適応について述べる.