抄録
移植前輸血が移植腎の生着延長効果をもたらすことは周知の事実であるが, 前感作の問題, 各種ウィルスの伝達などの負の効果を有することも考慮して, 適切なスクリーニングによってこれを防止する必要がある. 本論文では, 私共が数年来行っている生体腎移植に対するdonor-specific blood transfusionの経験から, DSTにイムランを間歇的に併用投与することによって, 前感作を十分に防止しうること, また移植後の免疫抑制療法として, シクロスポリン+ステロイド剤の併用投与によって1年生着率100%の成績がえられたこと, そして, DSTによって抗イディオタイプ抗体の誘導される症例の予後が, 特に良好であることを強調した.