順天堂医学
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原著
光覚を感知する義眼の試作についての基本的な実験
--特にEERの反応について--
旗山 藍簗島 謙次中島 章
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1989 年 35 巻 2 号 p. 171-175

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抄録

光覚を感知する義眼を作成する目的で基礎的な実験を施行し, その可能性を検討した. 正常者および盲人の目の誘発電位 (EER: Electrically evoked response) を探知するため, 3種類の刺激電極 (角膜-皮膚・角膜-結膜・結膜-結膜) を新しく考案した. 実験の結果: 1. 異なった刺激方法・刺激強度に対して, 正常者の眼では同様なパターンの誘発電位 (EER) とphospheneが得られた. 2. 種々の原因による失明眼において, いずれもphospheneまたは誘発電位は認められなかった. 3. 適当な電流刺激によって, 失明眼に眼球叩打痛が自覚されることが判った. 以上のことから光刺激を電気刺激に変換し, 失明眼を刺激することにより, 光覚の無い盲人も眼球叩打痛により光覚を自覚することが判り, 光覚を感知する義眼は臨床的に可能と考えられた.

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© 1989 順天堂医学会
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