順天堂医学
Online ISSN : 2188-2134
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原著
胃癌化学療法の臨床的研究
佐々木 淳
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1990 年 35 巻 4 号 p. 484-494

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抄録

1980年1月から1988年4月までの間に肉眼型1, 2, 3, 5型の胃癌を有する87例に癌化学療法を施行し, 胃癌取扱い規約に基づき効果判定を行った. 癌化学療法により1型は隆起の凹凸・高さ・大きさが変化し, 2型および3型では周堤の凹凸・高さ・幅, 中心陥凹の大きさ・深さ・陥凹底の凹凸, 病変全体の大きさが変化し, 3型ではこれに加えて胃壁の伸展不良に変化を認めた. 形態的変化と治療効果は, 癌化学療法前の組織学的形態と関連があった. また, 有効あるいは著効を示した症例の形態的変化から1型, および2型はA・B・Cの3型, 3型はA・Bの2型に分類しえたが, いずれの型においても延命が認められた. 延命効果に寄与するためには胃病変を経過観察して治療の継続・追加・変更を決定する必要があると考えられた.

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© 1990 順天堂医学会
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