1990 年 35 巻 4 号 p. 532-534
特発性間質性腎炎とぶどう膜炎の合併は, Renal-Ocular Syndromeとして知られているが, その報告例は20数例にすぎない. われわれの経験した症例は23歳の女性で, 全身倦怠感・体重減少・筋肉痛・多飲多尿等を主訴に近医より紹介され本院に入院した. 入院時に中等度の腎機能低下・尿細管性アシドーシスを認め, 腎生検の結果, 急性間質性腎炎と診断した. 入院第15病日頃より眼痛・流涙・羞明が出現し本院眼科にて前部ぶどう膜炎と診断され, ステロイドの点眼・眼注を施行されたが改善を認めなかった. 全身性疾患を考慮し原因検索を行ったが不明であり, 特発性間質性腎炎とぶどう膜炎の合併と診断し, プレドニソロン30mg/日から投与開始した. これにより, 腎機能・ぶどう膜炎は著明に改善した. 本疾患は慢性消耗性疾患の像を呈し, 炎症所見が主体を成し, ステロイドが著効を示すことが特徴と考えられるが, 本症例も例外ではない. また, ガリウムシンチが早期診断に有用であることも示された.