順天堂医学
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症例報告
シャント腎炎の1女児例
福田 豊鈴木 與志晴木屋 啓一大友 義之池辺 明子金子 一成藪田 敬次郎佐藤 潔宮野 武
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1990 年 35 巻 4 号 p. 529-531

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抄録

シャント腎炎は主にventriculoatrial shunt (V-Aシャント) 設置後, 比較的弱毒であるCoagulase negative Staphhyococcus (CNS) などの細菌が長期間にわたってシャントチューブのValve周辺に存在し, それが慢性的な抗原刺激によって免疫複合体が形成され, これが糸球体に沈着することにより引き起こされる腎炎と考えられている. 今回, 私どもはV-Aシャント設置約10年後に腎炎を発症し, 経皮腎生検で膜性増殖性糸球体腎炎 (MPGN type I) と診断された1女児例を経験した. シャント除去および抗生剤投与により臨床症状・尿所見・血清補体価などの各種データーは改善した. 本腎炎は主にV-Aシャント設置の患者に生じやすく, V-Pシャントが主に行われるようになった現在, 減少傾向にある. しかしながら, V-Pシャント設置患者の発症例の報告もあり, 定期的に尿検査を行い, 早期診断治療していくことが大切であると思われた.

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© 1990 順天堂医学会
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