抄録
低身長・肥満を主訴に入院となった18歳男性. 低Ca血症, 高Pi血症, 手指・足趾の短縮, レントゲン上, 胸腰椎の変形, 頭部CTに基底核の石灰化が認められた. Ellsworth-Howard試験 (EH試験) にて, 尿中のリン酸・cyclic AMPともに増加反応が陰性であり, 以上より偽性副甲状腺機能低下症 (Pseudohypoparathyroidism: PHP) Type Iと診断し, 活性型ビタミンD3・乳酸Caを投与し, Ca・Pi値の改善が認められた. PHPは比較的稀な疾患であり, 本邦では約200例報告されているにすぎない. 本症例はオールブライト遺伝性骨異栄養症 (Albright's hereditary osteodystrophy: AOH) を合併する典型的症例と考えられた.