順天堂医学
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原著
低尿酸血症に関する知見補遺
山本 和彦師岡 弘子
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1991 年 36 巻 4 号 p. 540-550

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抄録
日常診療における低血清尿酸値の臨床的意義の解釈を目的とし, 他の生化学検査成績・臨床所見などとの関係を検討した. 低血清尿酸値は集計成績をもとに1.7mg/dl以下を採用した. 症例別に時系列観察でみると, 血清尿酸値・血清総コレステロール値との間に相関が高い症例が多くみられた. また食事と血清尿酸値の関係を絶食前後の値で調べると, 絶食開始後約5日で50%の低下を示し, 摂食開始後約8日で回復していた. 従って, 多くの患者における低尿酸血症は外因性尿酸の影響が比較的高いと考えられた. 他の生化学成績とのクラスター分析による結果も上記の考え方を支持する結果を得た. 従って, 先天性プリン体代謝障害症例を除き, 低血清尿酸値は従来言われてきたように, 単に合成・排泄のみの問題でなく, プリン体摂取量の低値と密接な関連があると考えられ, 低栄養状態においては, 血清中の総蛋白値・総コレステロール値と並んで尿酸値も栄養指標となりうると考えられた.
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© 1991 順天堂医学会
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